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【NoMapsレポート】宇宙ビジネスのNoMaps – 民間リードの産業創生への挑戦

【NoMapsレポート】宇宙ビジネスのNoMaps – 民間リードの産業創生への挑戦

北海道・札幌を舞台に、カンファレンス・展示・イベント・交流・実証実験などを展開し、クリエイティブな発想や技術で、次の社会・未来を創るためのコンベンション『NoMaps』。過去、STARTUP CITY SAPPOROでも取材させていただきました!2020年はそのNoMapsとSTARTUP CITY SAPPORO事務局が連携し、8つのオンラインカンファレンスを実施いたします。

今回は、NoMaps1日目、10月14日(水)16:00〜16:50で行われた『宇宙ビジネスのNoMaps – 民間リードの産業創生への挑戦』のトークセッションレポートをお届けいたします!

「宇宙ビジネスって…宇宙旅行とか?ずっと先のことだよね?」と思っている方、必見です!まさに宇宙ビジネスは国リードから民間リードの過渡期と言える今。約10年前から民間企業のパイオニアとしてビジネスを牽引してきたインターステラテクノロジズ株式会社の稲川貴大氏、株式会社ispaceの中村貴裕氏、そしてANA発スタートアップであるavatarin株式会社の深堀昂氏が登壇し、一般社団法人SPACETIDEの佐藤将史がモデレートを務めます。

宇宙産業は世界的に見て、約40兆円の市場規模です。毎年5〜6%ずつ伸びていて、10年で1.5倍の規模になったそう。特に欧米や中国を中心に伸びていて、新興企業は2000社を超えました。2040年には150兆円を超える宇宙ビジネスになると考えられています。
どうしてここ最近で伸びたのか?
今まで宇宙事業は政府の機関が主導で、政府から委託されて民間企業が宇宙開発に携わっていました。しかしここ10年〜20年で変化が起き、いまは宇宙に関して新しい産業をつくるために、民間からどんどん企業が生まれています。

登壇者プロフィール

稲川 貴大
インターステラテクノロジズ株式会社 代表取締役社長
1987年生まれ。東京工業大学大学院機械物理工学専攻修了。学生時代には人力飛行機やハイブリッドロケットの設計・製造を行なう。修士卒業後、インターステラテクノロジズへ入社、2014年より現職。経営と同時に技術者としてロケット開発のシステム設計、軌道計算、制御系設計なども行なう。
「誰もが宇宙に手が届く未来を」実現するために小型ロケットの開発を実行。日本においては民間企業開発として初めての宇宙へ到達する観測ロケットMOMOの打上げを行った。また、同時に超小型衛星用ロケットZEROの開発を行なっている。

中村 貴裕
株式会社ispace 取締役COO
東京大学大学院で惑星科学を修了後、新卒で大手外資系コンサルティング会社に入社。6年ほどの勤務ののち、大手情報サービス会社の新規事業開発室に転職。自ら企画・立案した事業の立ち上げを経験し、2015年2月にHAKUTOプロジェクトを手掛ける株式会社ispaceに転職した。

深堀 昂
avatarin株式会社
2008年に、ANAに入社し、パイロットの緊急時の操作手順などを設計する運航技術業務を担当するかたわら、新たなマーケティングモデル「BLUEWINGプログラム」を発案、GlobalAgenda Seminar 2010 Grand Prize受賞、南カルフォルニア大学MBAのケーススタディーに選定。2016年10月にXPRIZE財団主催の次期国際賞金レース設計コンテストに参加し、「ANA AVATAR XPRIZE」のコンセプトをデザインしグランプリ受賞。2020年4月にANA発スタートアップとしてavatarin株式会社を立ち上げる。

モデレーター

佐藤 将史
一般社団法人SPACETIDE 理事兼COO
東京大学理学部、東京大学大学院理学系研究科(惑星科学)修了後、野村総合研究所にて16年間、宇宙業界やベンチャー振興を軸に、科学技術・イノベーション関連の官民コンサルティングに従事し政策立案からビジネス戦略まで幅広く行った後、2019年にispaceに参画。2015年より現在まで、一般社団法人SPACETIDE 共同設立者 兼 理事 兼 COOとして、宇宙ビジネスカンファレンスの企画・運営、宇宙ビジネス業界レポート「COMPASS」の発行などを行っている。UCLA公共政策大学院MPP。

「新しい産業を作っていくのが面白いと思った」
宇宙でビジネスをしようと決めたきっかけは

日本では、最近ようやく産業化の動きが生まれてきましたが、世間では10年前は宇宙がビジネスになると思われてもいなかったと思います。インターステラテクノロジズ株式会社(以下IST)稲川氏と株式会社ispace中村氏は10年近くパイオニアとして活躍されてきましたよね。登壇者の3名に、宇宙でビジネスをしようと決めたきっかけをお聞きしたいと思います。

IST稲川氏
ISTは会社化するより随分前から有志団体として小型ロケットに挑戦していました。インターンシップとして参画していましたが、修士を卒業するタイミングでISTが会社化したのもあり、入社することにしたんです。
2013年当時、イーロン・マスクのSpaceXという会社がファルコン9を打上げており、民間での成功例がありました。それを見て、日本でも同じ様に政府から民間への流れが絶対に来ると思いましたし、輸送事業として小型ロケットのポテンシャルを感じ、伸びる市場を選びました。
実は、2010年あたりって、ロケットベンチャーがたくさん出てきてたくさん失敗していた頃なんです。それにワクワクしていました。ロケットは究極の工業製品。新しいものが生まれる瞬間ってとてもおもしろいですよね。

ispace中村氏
2011年頭、元々私は惑星科学の研究をしていたので宇宙をサイエンスとして捉えていたんです。しかし、Google Lunar XPRIZEというGoogleがスポンサードしている民間最初の月面無人探査を競うコンテストに、ホワイトレーベルスペースとして参加したのがきっかけで、そこでサイエンスではなくビジネスの可能性を感じました。
当時ispaceのメンバーはボランティアしかおらず、私が100%コミットしたのが2015年からです。自分の人生をかけてコミットしようと思ったのは、既にある産業の中で新しいことするよりも、新しい産業自体を作ったほうが面白いと思いましたね。当時ispaceも Founder & CEOの袴田と私二人だけで、投資家もパートナーもついていなかった時期でしたが、具体的なプランが見え始めたので自信がありました。

SPACETIDE佐藤氏
ゼロベースで作れるところに可能性を感じて宇宙ビジネスに飛び込んだ、という話はよく聞きますね。例えば弁護士は、法律の世界はがんじがらめですが、宇宙分野は色んなことを新しく創造できる、と。

avatarin深堀氏
私は瞬間移動のモビリティプラットフォームに取り組んでいますが、このビジネスで大事なのは人が行きたいところをカバーすること、つまり宇宙をやらない手はなかったですね。世界中どこでも、宇宙にも設置されたアバターに入り込むことで瞬間移動を可能にします。月面にアバターを使って落書きしたり、地球にいる医師が宇宙空間にいる宇宙飛行士の治療をしたり、ビジネス的な可能性がものすごくありますよね。
ANAを退職したのは2020年3月。アバターにコミットする覚悟ができ、大企業のリソースとブランドを使って宇宙市場を開拓していくのがとても大事だと思い、コロナ禍でしたが会社を立ち上げました。

「宇宙の可能性を示すことが市場を広げる」
民間リードの産業創生に向けたチャレンジ

IST稲川氏
我々はMOMOロケットを打ち上げていますが、クラウドファンディングを活用しています。5回実施し、支援総額でいうと1.3億にもなり、ロケット開発自体の金額はもっとかかりますが、開発費の一部として使っています。このように一般市民とロケットとの接点を作ったり、ロケット自体の使い方を開発していくことが大事なのではないかなと思います。
なぜかというと、ロケットや宇宙を産業だと思ってない人が多いんです。だからこそ、既存の輸送業や科学研究的な使われ方だけではなく、ロケットの炎で焼いてみたりなどエンタメ的な使われ方を意識して取り組んできました。新たなロケットの使われ方が、市場を広げるんだと思います。

SPACETIDE佐藤氏
昨年のNoMapsで「アホな宇宙の使い方が産業を大きくする」と言っていましたよね、御社はそれをまさに実践しているということですね。

IST稲川氏
独立した民間企業だからやれると思っています。国主導の、いまの延長線上じゃできないので、思い切ってやるのも一つの使命だと思っています。

ispace中村氏
我々は、ローバー開発など月面探査のプロセスそのものをメディアと捉えてもらおうと思っています。やはり国がやると過程がなかなか見えてこない、閉じられたものになりがちだと感じていて、それを変えていかないと産業として育っていかないんですよね。民間だからこそオープンにしていく、だからクラウドファンディングで支援金額が集まりますし、投資家も集まるんです。
やはり月面での産業を作っているので、これまで宇宙開発をやってこなかった企業を積極的に巻き込んで行く必要があると思っています。通信、プラント、航空機など宇宙開発をやってこなかった民間企業を巻き込めるのは、主体が民間だからこそですよね。

SPACETIDE佐藤氏
他産業を巻き込むのは宇宙業界のトレンドではありますがとても大変ですよね。どういう工夫があるんでしょうか。

avatarin深堀氏
実際宇宙に打上げてみて分かりましたが、打上がる前はお金を渋る大企業の人たちはとても多いのですが、打上がったらその渋りが嘘のようにお金を出してくれる事がありました。やはり、打上げをリスクと捉える人が多いんでしょうね、そうなると社内の稟議は通りにくいです。打上がってしまえば、社内の意思決定が楽なんでしょうね、弊社のプロダクトを使いたいという依頼が非常に増えますね。

SPACETIDE佐藤氏
宇宙って遠い印象がありますよね。でも今回登壇してくださったみなさんが、「宇宙ってこんなに近くにあるんだぞ」「こんなことが出来るんだぞ」と示していくことで世界が広がっていくと思いますし、新たなプレイヤーが出てくるのだと思います。本日はありがとうございました。