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【NoMapsレポート】STARTUP CITY SAPPORO Presents事例から学ぶスタートアップが知るべき商標・特許の活用法

北海道・札幌を舞台に「カンファレンス・展示・イベント・交流・実証実験」などを展開し、クリエイティブな発想や技術で、次の社会・未来を創ることを目的としたコンベンション『NoMaps』。STARTUP CITY SAPPORO事務局では、10月13日(水)から17日(日)において、NoMaps2021にてスタートアップをテーマにしたセッションを多数実施しました。

本レポートでは、NoMaps3日目(10月15日(金)13:30〜14:30)に行われた『STARTUP CITY SAPPORO Presents 事例から学ぶスタートアップが知るべき商標・特許の活用法』の一部をお届けします!

STARTUP CITY SAPPORO Presents事例から学ぶスタートアップが知るべき商標・特許の活用法

「ユーザー数が増えてきたところで他社から商標侵害の警告が来た」、「他社から似た名前の商品が出てきた」など、商標に関するトラブルに巻き込まれるスタートアップは少なくありません。起業前後から商標について知っておくことで将来の大きな失敗を防ぐことができます。
また、スタートアップが独創的な技術やアイディアを武器に事業を創出し、着実な資金調達を行い、事業を軌道に乗せ、大企業との連携、さらには海外市場への展開などを実現するためには、自社のビジネスモデルに合わせた「知的財産戦略」を策定し、遂行していく必要があります。
このセッションでは、社名や製品・サービスのネーミングを決めるときに、どのようなことに気を付ければいいか、商標を取らないとどうなるのかなど、商標にまつわるトピックと、スタートアップが知的財産の面で直面した課題とその対応策や体制構築といった、特許にまつわるトピックについて、事例を交えてお話ししました。


登壇者プロフィール

鎌田 哲生
特許庁総務部企画調査課 課長補佐(ベンチャー支援班長)
特許庁において、ブレーキや自動運転、タイヤなど自動車関連および免震・制振、ねじ、スイッチなどの機械分野の審査に従事。また、総務課において産業競争力強化法の立法において、小規模・ベンチャー企業の審査請求料及び特許料の軽減部分を担当し、特許情報室においてJ-PlatPatの刷新、経済産業省において国会業務及び成長戦略の策定に従事。現在は、ベンチャー・スタートアップの支援を担当している。


特許権、意匠権、商標権とは

まず最初に、日本コカ・コーラ社の「い・ろ・は・す」シリーズを例に挙げ、身近な製品と知的財産との関係を説明しました。「い・ろ・は・す」では、ボトルで特許権を取得済みであり、更に意匠権と商標権を登録し、知的財産権で商品を守っていると言えます。

どのように商品を守るかと言うと、権利侵害に対する救済措置と刑事罰があります。差止請求権、損害賠償請求権、信用回復措置請求権などなど、様々な法律で守られていると言えます。

特許は、技術的なアイデアを権利という文章にし登録します。文章化した登録内容が狭すぎる範囲だと類似商品を作られてしまいますし、逆に広すぎても特許とは言えません。うまく上位概念化し、広い権利範囲を考える必要があります。

知的財産権は、「特許権」、「意匠権」、「商標権」の3つが主な権利ですが、それぞれは下記のような内容です。

特許権:発明を20年間独占する権利
意匠権:デザイン25年間独占する権利
商標権:ブランドをずっと独占する権利

全て早い者勝ちなので、アイデアを思いついたら早く出すことが大事です。

商標に関しては、ブランド名の他にも新しいタイプの商標の保護ができました。音や色、位置、動きなど、様々なものがあります。

知的財産権の良いところは、独占することだけではありません。改めて、知的財産権の3つのメリットをご紹介します。まず初めに「独占」は、他社に使わせないことで事業の差別化ができます。次に「信用」は、ブランドや技術力の裏付けとなるため、資金調達やM&A時の評価となります。その信用があるため、競合の猛追を抑え、事業を維持することができます。最後に「連携」は、事業連携を目的としたオープンイノベーションのツールとしても機能します。下流での秘匿・独占を防げるからです。

ただし、なんでもかんでも特許を出せばよいというものではありません。

特許を出願したほうが良いものは、他社に真似されやすく、すぐに追いつかれそうなものです。特許を出願すると、出願から1年6ヶ月後に公開されるため、秘密裏に管理するのが難しい技術もそれに当たります。

一方で、技術を他社に公開したくないものや、侵害が困難な発明(製造技術やアルゴリズム)は秘匿を選ぶのも、一つの選択肢です。例えば、コカ・コーラのレシピについては、世の中に知られてしまえば誰でも作れるため、発明をしてから20年間保護をされる特許権の取得を選択せず、秘匿することを選択しました。それにより、20年よりも長い期間、レシピを守っています。

また、通信方法やインターネットに繋ぐためのコネクタの形状など、独占すると他の人が使えなくなりシェアを取れなくなるようなものは、技術公開という選択をするほうが良いと言えます。

知的財産権は、出したいと思った時点で専門家に相談するのが良いと思います。特許庁では、無料相談窓口を設けていますので、ぜひ利用してみてください。

スタートアップが気を付けるべき知的財産権

では、起業時、どのようなタイミングで他者の権利を調べると良いでしょうか。

答えとしては、「自社製品の商品名が決定する前」に調べることが大事です。たとえ、商品をローンチして上手く拡大したとしても、事前に調べておかないと、他社から「製品/名称/デザイン」について、権利侵害に関する訴状が送られてくる可能性があります。商標の権利を侵害している場合は商品名を変えなくてはいけなくなりますし、特許侵害であれば、回避するような商品にしなくてはいけないため、開発し直しになります。構想の段階で他人の権利を調べることが大事です。

社名や商品名の登録商標は、下記で検索することが可能です。検索の仕方は、特許庁のホームページでも詳しく紹介されています。

特許庁 特許情報プラットフォーム J-PlatPat:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

特許庁では、スタートアップの支援も精力的に取り組んでいます。

スタートアップの企業価値は、技術やアイディア、つまり知的財産権に集約されています。しかし、スタートアップコミュニティにおける知的財産権への意識はまだまだ高いとは言えません。そこで、特許庁では、知財アクセラレーションプログラムIPASを実施しています。これは、創業期のスタートアップに対して、複数の専門家からなる知的財産メンタリングチームが、適切なビジネスモデルの構築と、ビジネス戦略に連動した知的財産戦略の構築を支援するというものです。ビジネスの専門家と知的財産の専門家を2人1組で企業に派遣し、メンタリングを行っていきます。

スタートアップの知的財産コミュニティポータルサイトIP BASEでは、「スタートアップがまず見るサイト」「知的財産専門家とつながるサイト」として、勉強会や知的財産専門家検索などを行っております。

知的財産コミュニティポータルサイトIP BASE:https://ipbase.go.jp/

IP BASEの会員になれば、無料で知的財産の話を聞けるので、ぜひ登録してみてください。

更に特許庁では、「知的財産総合支援窓口」を設けていますが、年間10万件の相談を受けています。使わない手はないと思いますし、企業によって戦略が違うので、起業するときに頭の片隅に知的財産をおいていただきつつ、知的財産総合支援窓口を頼ってほしいですね。

また、IP BASEでは、YouTubeチャンネルを開設しました。スタートアップ必見の、知的財産の基礎情報、支援施策などをご紹介しておりますので、気になった方はぜひ御覧ください!

このトークセッションは、NoMapsのYouTubeにて無料で公開しております、ぜひご覧ください!

ライター:SCS事務局

岡山ひろみ

札幌出身、大樹町在住の猫を愛するWEBライター。