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Open Network Lab HOKKAIDO 5th Batch Demo Day report

北海道の抱える課題解決に取り組むシード期のスタートアップを対象としたアクセラレータープログラム Open Network Lab HOKKAIDO(通称 Onlab HOKKAIDO)の5th Batch Demo Dayが、11月28日に北海道・札幌にて開催されました。本記事では、Demo Dayの様子をお伝えします。

3年ぶりのオフライン開催となった今回は、5th Batchに採択された5社が登壇するほか、札幌市スタートアップ推進係よりSTARTUP CITY SAPPOROの中間報告、Onlab HOKKAIDO卒業生のスタートアップ企業やゲスト企業によるピッチなどが行われました。会場となった道新ホールには多くの関係者・参加者が集まり、札幌・北海道のスタートアップシーンの盛り上がりを感じる一日となりました。

世界を目指すスタートアップがたくさん生まれる環境を――STARTUP CITY SAPPORO中間報告

まずは、札幌市スタートアップ推進担当係長の中本大和氏より、STARTUP CITY SAPPOROの中間報告が行われました。

「札幌・北海道から 世界を変えるスタートアップの事業成長を支援する」をミッションとし、2019年度から始まったSTARTUP CITY SAPPORO。2020年度にスタートアップ・エコシステム推進都市に選定され、SAPPORO Incubation Hub DRIVEがオープン。その翌年には、政令指定都市では初となる、ライフサイエンス分野に特化した官民連携地域ファンド札幌イノベーションファンドを組成しました。

2022年度からは、STARTUP CITY SAPPORO事務局に北海道庁のスタートアップ担当が参画し、より多くの連携団体・企業と共に協力しながら、スタートアップエコシステムを推し進めています。

今年度は特に、海外スタートアップへの情報発信を強化し、札幌で起業したい海外スタートアップを増やすための取り組みを行っています。2020年から続けている事業相談に関しても海外窓口を設け、より幅広い相談に対応を可能にしました。また、デンマーク・エストニアのスタートアップカンファレンスに出展するなど、積極的に普及啓発活動を行っています。結果として、北海道スタートアップビザ制度の確認証明書発行は、昨年度の4倍程度に増え、海外から札幌・北海道に拠点を移し、起業をする人が増えています。

他にも、高校生向けアントレプレナーシッププログラムでは、参加者が高校をまたいでチームを作り、3ヶ月間かけてアイデアをブラッシュアップしました。結果的に5チームが最終成果発表を行い、その後、日本政策金融公庫が行う高校生ビジネスプラン・グランプリに応募し、3チームが最終審査会まで残るという結果を残しました。

札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会では、40機関が参画しています。Startup Genome社が調査したレポート結果では、地域とスタートアップの結びつきが強いとスタートアップの収益性が高いことが分かったため、地域との連携をしていくべきであるとの提言がありました。一方で、大学時代にスタートアップを目指す学生が少ないことが課題と指摘され、これからは、起業家やアクセラレータープログラムの卒業生が、コミュニティにコミットする施策を展開していきます。

多くの方にご協力いただきながら、世界を目指すスタートアップがたくさん生まれる環境を目指していく予定です。

Onlab HOKKAIDO 5th Batch

Onlab HOKKAIDOは、北海道唯一の産官学連携アクセラレータープログラムとして、シード期のスタートアップを支援しています。Onlab HOKKAIDO 5th Batchでは、2022年3月よりスタートアップの募集を開始。糖鎖を活用した創薬支援技術を開発している遠友ファーマなど計5社を採択し、約4ヶ月のプログラムを経て、Demo Dayを迎えました。

1.kelperーShareBe株式会社

kelperは、藻場減少を起こすウニの駆除を収益化できる陸上ウニ蓄養プラントを提供します。藻場で昆布など海藻を食べ尽くすウニは中身が空であるため採取しても利益を生まず、費用をかけて駆除するしかありません。kelperは、漁協に対し空ウニ の畜養技術と安定生産するための餌を販売し、収益化できる仕組みをつくることで藻場回復を持続可能なものにします。 

https://kelper.club/

代表:高橋 優人氏

2.糖鎖を活用した創薬支援ー遠友ファーマ株式会社

創薬の世界では、特定の病気に対する薬として有効な成分を得られても、病気の細胞に効率よく届ける方法が無いために、医薬品として世の中に出せないという課題がありました。遠友ファーマは、細胞表面にある「糖鎖」に着目し、糖鎖を目印として活用することで、薬剤を特定部位にピンポイントで届けることを可能にします。 

https://www.enupharma.com/

代表:長堀 紀子 氏

3.Localerー株式会社ロカラ

ロカラは、農家や漁師、食品加工業者といったつくり手のEC課題を解決するEC改善サービスです。EC出店をしたつくり手たちは売上を改善するためにECの何を改善すれば良いか分からないという課題を抱えています。ロカラを使うとつくり手はEC や商品を分析した分かりやすい成績表と改善案を毎月見ることができ、さらには改善まで依頼することが可能になります。 

https://localer.co.jp/

代表:中川 真吾 氏

 

4.Reposakuーエゾウィン株式会社

Reposakuは、農業DXを支援するプラットフォームです。酪農業で飼料作物の農作業を行う際、収穫車両や運搬車両など複数の車両に対して同時並行で指示を出す必要があり、その指示・管理業務は非常に煩雑でした。Reposakuは作業車両のシガー ソケットに専用デバイスを指すだけで、指示や管理、進捗の見える化といった一連の管理業務をスマートに変革します。 

https://ezowin.com/

代表:大野 宏 氏

5.BAKARUー株式会社BUKARU

BUKARUは、地域の部活動を支援するプラットフォームです。中学高校の部活動が地域移行する際の、学校と地域の外部指導者との マッチングはもちろん、資金面でも持続可能な支援モデルを提供するなど、どの地域にいても子どもたちがスポーツができる環境づくりをサポート。地域に寄り添い、スポーツ文化教育が持続する仕組みを社会実装していきます。 

https://bukaru.site/

代表:森田 敦 氏

地域性を考慮し、かつ世界に出ていけるスタートアップ――審査員からの総評

Onlab HOKKAIDO 5th Batch Demo Dayは、以下の4名が審査員を務めました。

前川雅彦 株式会社DGインキュベーション 取締役 CIO
三浦辰治 北海道新聞社 営業局長
田中俊成 札幌市 経済観光局長
池田将 株式会社THE BRIDGE  共同創業者 兼 シニアエディタ

「地域性を考慮し、かつ世界に出ていけるスタートアップが多く、印象的だった」と株式会社THE BRIDGEの池田氏が、審査員からの総評があり、いよいよBest Team Awardの発表です。

Best Team Award、Audience Award のダブル受賞

最も優れたチームに贈られる「Best Team Award」と観客による投票で選ばれる「Audience Award」をダブル受賞したのは、遠友ファーマ株式会社です。

審査員からは、「糖鎖を分かりやすく説明し、人を惹きつけるピッチだった」「課題の深刻さとそれを解決する壮大な夢を秘めているのがとても良くわかった」といったコメントが寄せられました。

代表の長堀氏は「(受賞が)思いがけなく、驚いていています。評価いただき、とても光栄です。ますます気が引き締まります。次は、資金調達が最大の課題なので、頑張っていきます」とコメントしました。

Special Award

5th Batch Demo Dayでは、特別にSpecial Awardが設けられ、エゾウィン株式会社が受賞しました。

審査員からは「レポサクは地域課題に根差したものですが、北海道の農業、ひいては日本中・世界中の課題も解決するサービスだと感じました。既に40社に導入されているという実績を評価しました」とのコメントが寄せられました。

代表の大野氏は「北海道は、他の地域と違って農業規模が大きいので、課題をとても感じてもらえたのだと思います」とコメントしました。

ライター:SCS事務局

岡山ひろみ

札幌出身、大樹町在住の猫を愛するWEBライター。