お問い合わせ

【イベントレポート】北海道オープンイノベーションセミナー(第2回)

3月4日(木)18:30~YouTube Liveにて「北海道オープンイノベーションセミナー(第2回)」を開催致しました。サツドラホールディングス株式会社 代表の富山社長より「ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ」と題して基調講演頂きました。その後、北海道電力株式会社の幾世橋氏と株式会社日本総合研究所の井村氏を交えて、トークセッションを行いました。

現在も下記URLよりセミナーの様子を閲覧することができますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。



1.基調講演

まずは、セミナー冒頭に、「地域をつなぎ、日本を未来へ」のコンセプトのもと、店舗や地域の資産を活かして新たな課題解決型ビジネスの創造を目指しているサツドラホールディングス株式会社のオープンイノベーションに関する具体的な取り組みについて、代表取締役社長 兼CEOの富山浩樹氏より、基調講演頂きました。

富山:サツドラホールディングスが北海道を中心に展開しているサッポロドラッグストアーは、都心のドラッグストアとは異なり、生活密着型の店舗として展開を進めています。生活密着型として展開するにあたり、サツドラの店舗を、ただモノを売る場所とするのではなく、人が集まり繋がっていく場やサービスを提供する場として捉え、さらに、様々な事業を繋ぐ手段として、サツドラが注力している共通ポイントカード「EZOCA」を上手く活用していくことが重要と考えています。「EZOCA」は様々な企業と連携しており、道内世帯普及率は70%を超えています。また、単なるポイントカードではなく、「EZOCA」によって収集したデータの活用により、様々な事業連携を可能とする地域のプラットフォームを目指しております。
既存のマーケットは人口減少により縮小していくため、新しい価値の創出と提供が必要とされています。サツドラでは、店舗のアップデートと地域戦略の推進を軸に、「ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ」転換していくことをビジョンとして、オープンイノベーション等の取り組みに尽力しています。

富山:北海道は日本の中でも若年層の流出が増加し、人口減少が起きている地域です。また、2025年には北海道の過半数の自治体人口が5,000人以下となると言われています。この5,000人以下という状況は、生活関連サービスや、医療福祉サービス、教育サービスの存続が困難であると考えられる状態です。つまり、今のまま商売を続けている場合、小売業界内の戦いという話ではなく、そもそも一店舗が存続できるかどうかという状況に晒されることを表しています。こうした人口減少を始めとして、北海道は世界の中でも課題先進地域であることを理解し、対応していくことが急務であると考えています。
その対応策としてサツドラでは、自治体や大学、地域企業といった産学官の連携を強化していき一体となることで、地域課題の解決に向けたビジネスの展開を目指しています。また、そのための新規事業創出に向け、積極的に様々な取り組みを行っています。

2.トークセッション:オープンイノベーションを成功による地域からの新規事業創出に向けて

基調講演の後に、日本総合研究所の井村氏の司会進行のもと、サツドラホールディングスの富山氏に加え、北海道電力で新規事業開発や他企業との協業・オープンイノベーションの推進に尽力している幾世橋氏を交えて、パネルディスカッション形式でお話を頂きました。

プレトーク:オープンイノベーションに取り組むきっかけについて

幾世橋:東日本大震災以降、電力事業者の経営環境は大きく変わりました。その中で、今後さらに成長していくための方向性として、新たな技術・知見の獲得・活用などを通じて、地域の課題克服や持続的な発展に向けた「共創」の取り組みを推進していくことを掲げています。その中で、単に電気を供給するだけにとどまらず、北海道発展のために、地域還元できるものは何かということを検討し始めているのですが、北海道電力の中だけでは新しい発想が生まれにくいものなので、外部の知見を借りるオープンイノベーションに期待しているところです。

井村:長年北海道の電力事業を支えてきた北海道電力にとって、新たな分野に新しい一歩を踏み出していくことは、非常にチャレンジングなことであると思います。一方、サツドラホールディングスでは、自社だけでなく、他社や自治体等と連携して新しいことに取り組まれていますが、その時に、一歩踏み出すことのきっかけというのは、どういったものでしょうか。

富山:一番初めのきっかけは危機感だと思います。サツドラも北海道では広く知られている会社ですが、当時は100店舗程度しかなく、チェーンストアの行く先として、激しい競争の中で統合淘汰されていく危機感がありました。もちろん、新しい一歩を踏み出すことは前例がなく怖いもので、組織が大きくなるにつれて、変革を起こすことが難しくなることもありますが、新しいことにチャレンジすることは、非常にワクワクすることだと感じています。

幾世橋:地域貢献することは、北海道電力の経営理念として元々あるのですが、電力以外の部分で地域と一緒になって何かを進めていくことは中々できていないところで、北海道電力のような大きな組織が新しいことに取り組んでいくことの難しさを感じています。一方、最近は経営トップが「地域との共創」の必要性を発信しており、また、今回の北海道経産局のチャレンジピッチといった取り組み等への参加を通じて、会社としても「変わるんだ」という機運も着実に高まっていると感じます。

トーク2:スタートアップ企業や他社との協業について

幾世橋:北海道電力としては、どうしても目の前の数字や明確な成果を求めがちになってしまうのですが、スタートアップの目線はもっと先を見据えた目線であるように、目指しているところや文化が異なるので、社員が肌感覚でスタートアップの文化を学んでいくことや共通言語を覚えていくことが必要と感じています。そのためには、社員が社内だけの価値観にとどまらないことが重要であると思います。

井村:おっしゃるように、組織が異なると文化が違い、その差異を感じるためには、実際に足を動かしてみること、スタートアップなど外部の人と会って話してビジネスに触れてみないとわからないことがあると思います。

富山:異なる文化を受け入れていくことというのは、いかに多様性を持てるということだと感じています。また、そもそもの話ですが、スタートアップや他社をターゲットにする前に、まずは社内の中で「ダイバーシティ」の意識を根付かせていくことが重要と痛感しています。まずは、社内のジェネレーションやジェンダーの価値観を融合させる仕組みを作っていないと、急にスタートアップの文化・価値観を受け入れろといっても難しいと考えています。

幾世橋:北海道電力は今年で70周年を迎えます。これまでの長い歴史の中で、弊社は地域とのネットワークを構築してきましたが、その過程でものの見方がある程度硬直化してきたこともまた事実だと思います。弊社社員にしてみれば、電柱はただの電柱ですが、外部の新しい目にはこれまでにない活用方法が映っているのかもしれません。そのように外の方々と繋がり新たな価値を創造するためにも、特定の性別や年代だけでなく多様性をもって様々な視点から検討していくことが必要と感じています。また、その先に社内だけでなく、社外の方の異なる目線を加える、オープンイノベーションを目指していきたいと思っています。

富山:多様性を感じるためには、自ら異なる文化の人に接していくことが必要であると思います。若い人の価値観に触れないと、自分の年代の価値観を改めて理解することはできません。そして、意思決定者がダイバーシティを持たないと、会社が新しいことを進めていくこと、イノベーションを起こすことはできないのではないでしょうか。

トーク3:北海道ならではのオープンイノベーションとは

井村:北海道は課題先進地域という話がありましたが、社会インフラを維持することが難しいという側面がありますよね。

富山:つまり、あらゆる業界が寡占化されつつあり、さらには厳しい状況に晒されている。しかしその反面、各業界が業界を越えたコラボレーションの起きやすい環境ではないかと思います。例えば、先日サツドラは、コープさっぽろとの業務提携を行いましたが、これは、上場企業と生活協同組合が業界を越えて手を結んだ今までにない取り組みとして一部反響を呼んでいます。また、北海道では、ビール会社が共同で物流を行っている例もあります。商品自体は競争領域ですが、物流は共創領域であり、争っている場合ではないということです。

幾世橋:北海道電力が目指しているものとしても、一社でマーケットを作っていくことは難しい中、お互いのモノを持ち寄って、誰かと組むことで新しいものを作り出していくことだと考えています。その時の組む相手は道内でも海外でもどこで良く、北海道の課題を解決するという目的を達成するための手段として、上手く連携できるかどうかが重要だと思っています。

井村:近年デジタル化が進んだことで、物理的距離の制限が減少していきました。地方に居ながらでもリアルタイムで世界と繋がれる環境ができてきています。また、デジタルに加え、データを資源として新しい連携や価値提供が期待されているのではないでしょうか。

富山:データは、第四の経営資源とも呼ばれており、特に我々や北海道電力が持っている小売りのデータは有益な資産であると思います。これらを中心として様々な企業やモノが繋がっていき、新しい価値が創出されていくような世界になってきているのではないでしょうか。

クロージング:オープンイノベーションへの期待

富山:今回のような交流の場を通じて、ヒトが繋がることが重要であると思います。地方では動いている人が少ないので、ブルーオーシャンであり、何か動いていくことで、地域の唯一無二のプレイヤーになりやすいと思います。北海道には、優秀なヒトも企業も自然もあるので、それらが繋がっていくことで面白いことが起きるのではないかとわくわくしております。

幾世橋:これからオープンイノベーションを進めていく中で、今まで見えていなかったものが見えていき、新しい価値が創出されていくことに非常に期待しています。自社だけでなんとかしようとするのではなく、恥ずかしがらずに様々な人の力や知恵を使って、みんなで北海道を盛り上げていきたいと思っています。

井村:ここ数年、北海道の中で面白い動きが活発に起きているように感じています。私も微力ながら尽力させて頂き、引き続き北海道を盛り上げいければと思います。