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【J-Startup HOKKAIDOインタビュー】株式会社VETELL

経済産業省北海道経済産業局とSTARTUP CITY SAPPOROが共同で取り組んでいる、J-Startup HOKKAIDO。北海道発でグローバルな活躍を目指すスタートアップ企業を選定し、支援をすることで、スタートアップの飛躍的な成長を後押しするプロジェクトです。
そのJ-Startup HOKKAIDOに選定された、25社(2021年6月時点)に及ぶ企業をご紹介いたします。

今回は、株式会社VETELL 代表取締役CEO 池田哲平さんにお話を伺いました!

株式会社VETELL 代表取締役CEO /獣医師
池田哲平

1983年生まれ(大阪府)
北海道大学獣医学部卒業後、肉牛・乳牛それぞれの専門診療所において、個体診療・繁殖管理・飼料設計・牧場コンサルティングを経験。
北海道から九州まで、全国で牧場コンサルティングやバーンミーティングを実施。
2019年 Open Network Lab HOKKAIDO 2nd Batch 最優秀賞

 

ーーどんな会社で、どんなサービスや商品を提供(開発)していますか?

畜産農家・酪農家とその外部関係者が持つそれぞれの記録を統合してデータ共有できる『牛群管理・共有型電子カルテ“vetell”』の構築・運用を行なっています。

ーーなぜそのサービスや商品を提供(開発)したのでしょうか?理由をお聞かせください。

獣医師として全国の色々な牧場さんに携わる中で、安定した牧場運営に欠かせない「データの集約と活用」がほとんどの牧場で出来ていないと感じていました。その結果、多くの牧場さんは経営が厳しくなってしまっています。その課題を解決したいと思いました。
少し詳しく説明すると、日々の牛の管理や病気の治療を含め、牧場の運営には色々なデータに基づいた判断が必要ですが、そのデータの元になる記録や情報が「紙・メモの記録しかない」「獣医師や農協担当者しか知らない」「そもそも記録を取っていない」」など、多くのケースで情報が散乱・独立してしまっています。
牧場の立て直しや安定化のためには、様々な情報を「集約→データ化→数値評価」することでまず課題を見える化し、その課題に対する「対策の実施→数値の再評価」を継続して実施する必要がありますが、これを日々忙しい農家さんが独力で実施することはほぼ不可能ですし、また、獣医師を始めとした牧場の外部関係者がサポートするにも多大な労力がかかります。
牧場の安定経営のためには、「まずは牛や牧場に関わる情報が一元集約される必要がある」と感じ、vetellを開発しました。

ーー提供(開発)しているサービスや商品のアピールポイントを教えてください。また、そこに至るまでの苦労などありましたら併せて教えてください。

農家さんにとっては「牛群管理かつ経営管理」のツールとして利用でき、獣医師や人工授精師にとってはそのまま「電子カルテ」として使えるのが、他にはないvetell の最大の特徴であり、特許出願中です。
農家さんが牛群管理の記録を行なっていくにあたって、記録そのものが苦手・面倒臭いという心理的ハードルは誰にでもあるものですが、そのハードルを限りなく下げる様に工夫しています。具体的には、
・簡単な選択方式による記録
・複数頭への一括入力
・入力履歴からの簡単呼び出し
・よく使う記録パターンのメモリー
・毎日の定型作業などは自動記録などがあります。
さらに、治療や給餌など経費に関わる記録と乳量など売上に関わる記録では単価を設定することで、詳細な収支の記録が可能となっています。
つまりvetellを使うと「作業管理の記録がそのまま収支管理/経営管理の記録になる」ということになります。これまでのこういった記録システムでは「作業管理・飼養管理」と「経営管理」が独立してバラバラに管理されるケースが多く、転記のミスや数値の不一致が多発していましたが、その煩わしさが一切ありません。
また獣医師にとっては、法律で定められている牛の診療記録として利用できる基準の電子カルテとして機能し、これまで農家さんに伝えるのが難しかった牛の健康状態や治療内容が、簡単に共有できます。
なお、情報の共有範囲は任意に設定でき、「誰に、何を、どの範囲まで共有するか」は農家さん自身が選択できるので、牧場の重要情報が不用意に漏洩する心配もありません。

ーー今後の会社の展望や、ビジョンを教えてください。

私たちは「すべての農家さんに幸せな牛飼いの毎日を提供する」というミッションを掲げています。
幸せな牛飼いの毎日とは「持続可能・再生産可能」なことだと考えています。
畜産酪農をはじめとした日本の食糧生産システムには解決すべき課題が多くあり、その一つ一つを解決していかなければ持続可能な食糧生産ができません。私たちの取り組みはその一つです。
持続可能な農業にするために一つとして、「消費者への情報提供」もあると考えています。食への多様な考え方が広がってきているからこそ、「生産過程や食の安全に関わる情報」は望まれています。農家さんがしっかりした管理しているという記録を「価値ある情報」として消費者に届け、その価値を農家さんに還元するようなスキームにも取り組んでいきます。
情報が簡単に手に入る時代だからこそ、「手に入りにくい情報には価値がある」とも言えます。牛に関わる情報には、その「価値ある情報」が多く含まれていると考えています。

ーーお知らせしたいことなどあれば(登壇イベントや採用など何でも構いません)

VETELLでは多くの職種で人材を募集しています。”食”で多くの人を笑顔にしたい方、農業のIT化やデジタル化に関心のある方は、是非VETELLにお声かけください!
・システムエンジニア(フロント・バック両方)
・ハードウェアエンジニア
・データアナリスト
・営業
・カスタマーサポート・カスタマーサクセス
・獣医師(コンサルタント職)

株式会社VETELL

私たちが目指すのは、国家の根幹である「食糧生産」とそれを支える「農村社
会」、両者の維持発展です。農家戸数の減少や後継者不足は今や喫緊の「課題」ですが、vetellによって獣医師をはじめとした関係者と「必要な情報を共有する」ことで、経営におけるコストとリスクを最小限にする事ができ、新規就農や事業承継のハードルを下げることが可能となります。
vetellによって、『持続可能な畜産・酪農の形を追求』し、『仕事としての牛飼いだけでは無い「ライフスタイルとしての牛飼い」を楽しめる様な基盤を作る』、これが私たちの目標です。

TEL:0155-67-8915
MAIL:info@vetell.jp
HP:https://corp.vetell.jp

ライター:SCS事務局

岡山ひろみ

札幌出身、大樹町在住の猫を愛するWEBライター。