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起業で迷ったらここへ!無料相談会『SCS cafe』 潜入レポート

2020年7月、SAPPORO Incubation Hub DRIVEにてスタートアップ向け相談会『SCS cafe』が開催されました!そこでは、弁護士や公認会計士などのプロに対して、法律・知財・会社設立から資金調達まで無料で相談が出来る、スタートアップにとっては非常に嬉しい取り組みがなされています。7月は、公認会計士・税理士の田中将太郎さん、弁護士の小野寺優剛さん、そして日本政策金融公庫から日向康之さんをお招きしたほか、アクセラレータープログラムOpen Network Lab HOKKAIDO事務局も参加されていました。また、zoomを使ったオンライン相談にも対応していたようです。

今回は、そのSCS cafeにお邪魔したレポートを皆さんにお伝えいたします!また、田中さんと小野寺さんにコメントもいただきましたので、ぜひご覧ください!

札幌中心部にある北海道新聞社2階に位置するシェアオフィス・コワーキングスペースのSAPPORO Incubation Hub DRIVE。7月のSCS cafeは、DRIVE入り口の右隣にある、集中ルームで実施されました。

弁護士 小野寺優剛氏

Q.離婚や裁判のイメージが強いのですが、企業に対して弁護士はどんなことをしてくれるんでしょうか?

裁判ももちろん対応しますが、本当は揉める前に頼ってほしいです。契約書のチェックなど、予防法務として使ってもらったりするのが良いと思います。また、裁判外の交渉で、代理人として代わりに交渉にあたるという弁護士の使い方もあります。代理人だと当事者ではないので冷静でいられますし、感情抜きで話せたり、相手に法的に整理した内容の通知を送ったりすることができます。

Q.「揉める前に頼る」って頼るタイミングが難しいですね…。

今は無料相談ができる機会も少なくありません。そういう機会を利用して、「これ相談していいのかな?」と気にすることなく、まずは相談してみるのが良いと思います。相談した結果、まだ機が熟してなかったからそれはそれで良かったですね、というのもありますし。考えすぎてしまうよりも、弁護士にぶつけてみてください!

Q.絶対にこれは弁護士に見てもらったほうがいい!というものはありますか?

一概には言えませんが、契約書を作るときはチェックを入れた方が良いですね。個々の事情の部分を考えて、過不足無く契約書に盛り込めているか確認します。

Q.スタートアップはどのタイミングから、どんな内容を頼るのが良いと思いますか?

プロダクトがまだできていなかったとしても、株主間の問題や、内部での問題がゼロとはいい切れません。そこで関わったほうがいいケースがあるかもしれませんね。また、サービスを出す前に、契約書や約款の内容や、内容に対するリーガルチェックが必要にケースもあります。「じゃあいつから必要だろう?」と思ったら、まずは話しかけてほしいですね!
とにかく、なるべく早い段階から、コンタクトが取れる弁護士を探しておくのが良いと思います。例えば、無料相談を利用して、自分や事業との相性が良さそうな人を見つけておくとか。札幌はスタートアップ自体が少ないので、会社と並走してくれる人を探していくのがいいかもしれませんね。

Q.お金はどれくらいかかるものなんですか?

事務所にもよりますが、顧問弁護士などはだいたい月3万円〜5万円あたりでしょうか…。1ヶ月あたりの相談の上限回数が決まっている場合もあります。例えば、裁判をすることになれば費用は別途かかりますが、規定料金よりも安くしているところもあります。弁護士事務所によって様々なので確認してくださいね。継続的な関係になると、お互いのことを把握しているので、何かあったときもスムーズだと思います。

Q.後悔しない弁護士事務所の選び方ってありますか?

一番避けるべきなのは、弁護士は”あなた”の代理人なので、話を聞かないで勝手に決めてしまう弁護士でしょうか。話をちゃんと聞いてくれない人は避けたほうがいいかもしれません。
ウェブで検索して弁護士を探すこともあるでしょうが、ホームページがないからと言って悪い事務所でもないですし、人と人の付き合いですから、ウマが合うか、信頼関係が築けるかが非常に大事です。一人話してみて、他の事務所の弁護士にも話をしてみて、選んでみてください(こんなこと言ってしまって良いのか分かりませんが・・・)。

Q.スタートアップ企業にメッセージをお願いします。

札幌発の新しいものを産まれるのは非常に嬉しいし応援したいです!そのときに気軽に弁護士に声かけてほしいし頼ってほしいですね。


公認会計士・税理士 田中将太郎氏

Q.そもそも公認会計士って企業に対してどんなことをしてくれるんですか?

公認会計士のメインの仕事は、投資家のための仕事なんです。上場企業の財務諸表監査、つまり財務諸表(決算書)が信頼できるかどうかを証明します。その結果、信頼できる財務諸表を利用して投資家が安心して投資できるという訳です。
ただ公認会計士も、いろんな役割をしている人が多いですね。例えば、財務諸表の信頼性を検証できるということは、財務諸表を正確に作れるということ。なので、企業内で財務諸表を正確に作る支援をする公認会計士もいます。例えば、上場前は公認会計士が企業内部に入って支援することが多いです。様々な部署の数字が正しく上がってこないと、正しい財務諸表は作れませんから、正しく上がってくるような内部の仕組みを作っていく支援を行います。
また、正確な財務諸表が作れることは、企業の資金調達にも役立ちます。スタートアップへの投資の場合でも、投資を行う金融機関はリスクを避けたいので、しっかりとした決算ができて信頼できる会社に投資したいですよね。そういう場面でも公認会計士が必要となります。
財務諸表を作る過程で、ただ数字を作るだけではなく、どういうビジネスにしていけば良いかを一緒に考えていく場合もあります。
他にも、多くの公認会計士が担っているのは、税理士としての役割です。会社が数字を作っていく過程で税金対策を行うことも大事です。税務上の数字を扱うのも仕事です。

Q.企業にとって公認会計士と税理士は無くてはならないことが分かりました!では、スタートアップはどのタイミングから、どんな内容を頼るのが良いと思いますか?

創業時が一番良いです。数字は創業したときから動き出しますよね。資金調達も含め、将来を見据えた数字の作り方をしたほうが良いんです。それに会社設立のタイミングは、資本金を定めたり役員報酬を決めたり等、すぐには変えられない大事な部分が多いのです。
それに、過去に遡って整理するのが大変なタイミングでご依頼いただくと、通常よりも余計にお金がかかってしまうことがあります。経理スタッフ一人雇うよりは、公認会計士に頼んでしまう方が、人件費よりも安かったりするので、早いタイミングで依頼することをおすすめします。
また、税務だけを担当したり、CFO的な立ち位置で支援したりと、色々な支援の方法が考えられるので、とにかく最初から声をかけていただきたいですね。

※撮影の為、マスクを外していただきました。

Q.上場を目指すならいつから公認会計士に頼むのが良いのでしょうか?

財務諸表の作成はもちろん創業時からちゃんと行った方が良いですが、最低でも1〜2年前からしっかり作っておきましょう。3ヶ月前とかでは遅いです。監査法人がチェックするとき、とてもチェックが厳しいので、しっかりとした準備が必要です。
上場支援の過程で、私たちが財務諸表を作るのではなく、企業内で財務諸表を作れる体制を作ることをサポートしていきます。例えば、原料を輸送するトラックのガソリン代をどの勘定で仕訳すればよいか、などの単純な会計指導から、ミスを防ぐためのダブルチェック体制などの内部統制を構築することまで幅広く支援します。

Q.お金はどれくらいかかるものなんですか?

会計事務所にもよりますが、スタートアップ企業の税務顧問であれば、月々2〜3万円で済むケースが多いと思います。決算費用もプラス10万円〜20万円ほどです。クラウド会計(例えばfreeeやマネーフォワードなど)を使えるのであれば、月々の支払いはそんなに高くならないと思います。

Q.後悔しない、公認会計士・税理士の選び方は?

ホームページだけではよくわからないので、実際に話を聞いてみると良いと思います。仕事の仕方はさまざまで、毎月訪問する人もいれば、クラウドサービスを利用して遠隔で対応する公認会計士や税理士もいます。じっくりと話を聞いてみて、自分にあったスタイルの公認会計士・税理士を選ぶことをオススメしたいです。

Q.スタートアップ企業にメッセージをお願いします。

起業時は、資金が少ない中、面倒で難しい作業が多いです。アウトソースするお金を節約するために自分で何でもやろうとする経営者が多いですが、中長期的な視点でビジネスを成長させるには、経営者はビジネスの根幹に向き合うことに集中するべきです。外部の力を積極的に利用していくは、スタートアップ企業に不可欠です。
やはり、外部だからこそ言える意見があります。悩んでいたり、分からないことがあれば何でも言ってほしいですね。

 

次回のSCS cafeは…?

スタートアップにとって、頼もしい方々が相談を受けてくれるSCS cafeですが、9月も10月も、数多くの相談会が開かれます!先生方によって実施日が違いますので、日程をご確認の上、お申し込みください。また、直接面会せずzoomでの相談も可能ですし、DRIVEまで足を運んでの相談も可能です。相談会についての詳細は、こちらからご確認ください!

相談会のご予約は、こちらのフォームからお願いします。

【公認会計士/税理士 田中先生】
・9月29日(火)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月2日(金)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月9日(金)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月20日(火)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月27日(火)17:00〜20:00(1社あたり40分)

【弁護士 小野寺先生・諏訪先生】
・9月24日(木)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月1日(木)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月8日(木)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月15日(木)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月22日(木)17:00〜20:00(1社あたり40分)

【Open Network Lab HOKKAIDO事務局】
・9月23日(水)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月7日(水)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月14日(水)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月21日(水)17:00〜20:00(1社あたり40分)
・10月28日(水)17:00〜20:00(1社あたり40分)

最後に、SCS cafeを担当されている、STARTUP CITY SAPPORO事務局の赤坂美奈さんにお話を伺いました。

「STARTUP CITY SAPPORO事務局では、スタートアップの皆さんの疑問や不安を解決するため、その分野のプロフェッショナルによる相談会を毎月定期的に実施しています。個別に弁護士事務所や会計事務所の門を叩くのは、勇気がいると思うのですがこのSCS Cafeは無料ですし、比較的相談しやすいと思います。予約者優先ですが、飛び込みでの相談も受け付けています!もし悩んでいることや不安に思っていることがあれば、ぜひこの機会を利用して相談してみてくださいね!」

気軽にプロフェッショナルに相談できるSCS cafe、ぜひご利用ください!

小野寺先生プロフィール
弁護士
岩手県出身。北海道大学法学部への進学を機に札幌に移住。学生時代には法律相談サークルに所属し、2013年に司法試験に合格。主な取扱分野は企業法務、労働事件、不動産案件など。
2013年に北海道大学法科大学院卒業後、司法修習開始(67期)。
2014年、札幌弁護士会登録、諏訪・髙橋法律事務所入所。

田中先生プロフィール
公認会計士/税理士
北海道出身。慶應義塾大学卒。会計事務所の国際金融部で、国際監査や会計・財務アドバイザリーに従事した後、コンサルティングファームのプロジェクト責任者として、自動車、金融、ITなど幅広い業界における成長戦略、マーケティング、新規事業、M&Aなどのプロジェクトに関与。北海道から世界を目指す企業を支援したく、2019年に田中将太郎公認会計士事務所(札幌)を設立し、代表に就任。