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今はUターン起業の黎明期!札幌がビジネスチャンスを秘めているワケ

2020年4月、札幌に新たな企業が誕生しました。その名も、POLAR SHORTCUT、北海道札幌市に拠点をおくスタートアップスタジオです。でも、なぜ東京ではなくて札幌?そう思った方も少なくないのではないでしょうか。お話を伺うと、代表取締役CEOである大久保 徳彦さんはソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)を経て動画制作のスタートアップ企業 Crevo株式会社のNo.2を経験されたバリバリのビジネスマン。そんな大久保さんは、東京一極集中社会から多極集中型社会への移行の流れを感じ、札幌にビジネスチャンスを見出して、2020年4月に北海道へUターンされたとのこと。東京でスタートアップを経験してきたからこそ見出した札幌のビジネスチャンスは、どんなものなのでしょうか?

大久保 徳彦
株式会社POLAR SHORTCUT 代表取締役CEO
1985年北海道帯広市生まれ。慶應義塾大学法学部卒。
ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)にて、プロジェクトリーダーとして多くの新商品企画や新規事業推進プロジェクトに従事。その後、動画制作のスタートアップ企業 Crevo株式会社にて、経営企画・人事・財務・新規事業開発領域を組織のNo.2として統括。伊藤忠テクノロジーベンチャーズ等から3.4億円の資金調達を実行。北海道の成長産業支援をテーマに2020年4月に株式会社POLAR SHORTCUTを設立。
https://corp.polarshortcut.jp/



―ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)の新規事業推進プロジェクトでは、どんなことをされていたのですか?

孫社長からトップダウンで降りてくるものをカタチにする部署で、太陽光発電事業やペッパーなどをやっていた部署です。営業やマーケ、CSなど多くの部門の人たちと連携して、100人くらいのチームをつくりプロジェクトを動かしていく役目です。商品企画やコンセプト設計など上流の仕事もしましたし、料金設定や店舗マニュアル作成、プロモーションのチラシ作成など、上流から下流まで経験しましたね。


転職の理由を教えてください!

Crevo株式会社(クレボ)は2012年に創業、最初の事業をピボットして2014年から動画事業をスタートし、私は2015年、会社としては4期目に入社しました。
私は当時、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)で働いており、自分の所属部署が再編される予定だったこともあり転職を考え始めたのですが、たまたま、同期が起業していたので話を聞いてみたら、事業的に将来性がありそうで、良いなと思い転職するに至りました。
クラウドソーシング的な仕組みを使って動画を安く作る事業で、動画市場がこれから来ると思ったんですよね。動画でこれがやりたい!というよりも、自分たちの力で会社を作っていくというのに興味があったんです。メンバーは8人いましたが、営業やマーケが誰もいなかったので、その一人目になるのが楽しみでした。


Crevo株式会社ではバックオフィスもやられていたようですが、元々経験が合ったのですか?

私が入社する前後くらいから採用に力を入れていき、8名だった組織が一気に20名にまでなりました。しかしバックオフィス人材がおらず、細かい仕事が不得意な社長が経理なども含めてやっていたため、私が担当することとなりました。全てやったことがない仕事だったので大変でした…顧問会計士に聞きながらとにかく必死です。しかし、全部の部署でワンサイクル回すと、仕事ごとの連動性が見えてくるんですね。連動性が見えるからこそ組織づくりができたり、そういう経験ができたのは財産になりました。


どうしてこの北海道札幌で起業したのでしょうか?

北海道に対して自分のスキル・経験を還元したいと思ってPOLAR SHORTCUTを立ち上げました。北海道はスタートアップがとっても少ないですよね。それに立ち上げたいけど人手が足りない、という課題もあると思います。なのでまずは、業務委託的な形で、新規事業開発やマーケティング、コーポレート管理や資金調達などビジネスサイドにおけるコンサルティングを中心に、実際にスタートアップ企業で発生する様々な課題に対処するための実践的なサポートを行っています。今後は準備中のスタートアップスタジオ事業も含め幅広くスタートアップ支援をしていきたいと思っています。


起業するなら東京、というイメージがあります。札幌で起業するメリット・デメリットを教えてください。

東京はスタートアップのコミュニティが出来ているのが大きいです。そこに入ると横の繋がりができて表には出てこない情報がもらえたり、ライバルとは切磋琢磨出来できます。起業においては、実はそれが大事だったりするんです。
私の場合は、Crevo株式会社で働いたことで投資家や起業家との繋がりが出来ましたし、そのネットワークは札幌に来ても活かせるので、2回目のスタートアップなら東京の必要がないかなと。コロナ禍で多くの人がオンラインになったのも、札幌での起業を後押ししていると思います。

札幌のメリットは、分かりやすいところで言うと土地代(オフィスや自宅の家賃)が渋谷の半分くらいの価格で済みます。アルバイトの時給も安いですし、スタートアップとしてはバーンレートを抑えやすいんですよね。
札幌はSAPPORO Incuvation Hub DRIVEが要になっていくと思います。この場所に大手企業はもちろんスタートアップや行政の方や大学、高校生や大学生など、いろんな人たちが集うので、ビジネス的な繋がりができますね。特に、ターゲットとなるお客様が北海道にいるならば、競合も少ないですし、いくらでもやり様はあると思います。


実際に札幌移住してから数ヶ月経ったと思いますが、札幌の生活はどうですか?

地方都市といっても、人口が200万人弱いる大きな市なので、「地方だからものがない」ということはありません。本屋などの品揃えも変わらないですね。東京と比べても、街がコンパクトなので移動も楽ですし、ごみごみしていないですし、住む環境としては最高だと思います。
ただ、札幌の昔からあるような会社の人は、働き方や考え方もやっぱり昔ながらのままなので…それは上手く付き合っていく必要があるかもしれませんね。


社会人経験をしてからのUターンと、大学卒業してからのUターン、どちらがおすすめですか?

東京で働いてからの方が良いと思います。一般的な東京の環境や働き方を知っていると、住む環境の良さを実感できますし、若いうちは先進的な起業で働いていたほうがその先のキャリアが広がると思います。自分で自由にやると決めたときに帰って来る方が良いと思います。


どんな人にUターンを勧めたいですか?

東京のスタートアップ界隈で働いていて起業を検討している人には絶対に進めたいですね。他にも、起業とまで言わなくとも東京である程度働いていたけれど様々な事情からUターンを検討している人も多いはずです。そういう人が帰ってくると札幌は盛り上がると思いますね。
東京から札幌にUターンしようとするとき、多くの人は転職先探すと思うんです。転職サイトを見るとピンとくる会社や仕事が全然なく「北海道には仕事がない」と思ってUターンを諦めるのはもったいない。一度お話したいです!(笑)


北海道、札幌にどれくらい可能性が眠っていると思いますか?

日本は、高度経済成長期に地方から東京に人材を集めて伸びたという背景があり、東京一極集中でした。しかし、”ずっと成長していく資本主義”の時代はもう終わっていて、少子高齢化や資本主義の成熟化は当たり前の話しですし、世界的なトレンドです。つまり成長の前提が変わってしまったんですね。それならば、東京一極集中ではなく、地方に戻すべきなんじゃないかと考えたんです。

アメリカは東京と近いモデルですが、ヨーロッパだと「多極」集中型で一つの国にいくつもの経済の中心都市があります。ドイツの首都はベルリンですが、政府機能は西ドイツのボン、貿易の中心はハンブルク、国際金融はフランクフルト。人口はどの都市も同じくらいで、皆幸福度が高く暮らしているようです。イタリアも、地方都市がそれぞれ特徴を持っています。つまり、成長過程にあるのか成熟した社会なのかで、ぴったりハマる社会モデルが違うんです。

日本で多極集中型社会を実現するならば、札幌が大阪や京都と同じくらいの規模感で経済が作られていることになるはずです。今はそれが始まる直前、まさに黎明期。10年経ったら、地方でスタートアップは当たり前になっていると思うんです。だからあえて私は、東京にいる意味を問い直したい。「地方を良くしたい」「地元を盛り上げたい」という気持ちをないがしろにするわけではないですが、私は単純にビジネスチャンスがあるからUターンしました。

NoMapsカンファレンスご紹介

2020年10月14日〜18日、札幌で行われるNoMapsカンファレンスにて、大久保さんがモデレーターを務めるウェビナーをご紹介いたします!

地方発スタートアップの課題と可能性

https://no-maps.jp/program/conference/local_startup

今年の7月に札幌は内閣府のスタートアップ・エコシステム推進拠点都市に選定されました。日本国内で起業すると言うと圧倒的に東京というイメージがありますが、地方発のスタートアップでも多額の資金調達を行い、急成長している企業は存在します。
本セッションでは、地方発スタートアップの経営者と、その投資家である東京のベンチャーキャピタリストを招き、地方起業ならではの課題や意外なメリット、資金調達の実態や成長のキーファクターなど、気になるテーマについて語っていただくことで、地方発スタートアップの課題と可能性について紐解いていきます。


札幌”インサイドセールス”拠点構想

https://no-maps.jp/program/conference/inside_sales

ウィズコロナの時代、マーケティングや営業活動の在り方が変わって来ていますが、その中でも注目されているのが「インサイドセールス」という手法です。
本セッションでは、インサイドセールス支援の事業を展開するスマートキャンプ社、インサイドセールスを有効に活用しているSaaS企業であるマネーフォワード社を招き、インサイドセールスの基本的な概念から、導入の利点、さらには札幌に活動拠点を置いている理由について語っていただくことで、新産業としてのインサイドセールスの可能性を模索します。