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#1 アイデアってどうやって見つけるの?

このシリーズでは、スタートアップの皆さんの役に立ちそうなHOW TOを紹介していきます!

突然ですが、スタートアップにとって良いアイデアとは何でしょう?今までにない斬新なアイデア、社会貢献につながるアイデア、最新のテクノロジーを使ったアイデア。一言で「アイデア」と言っても、様々なタイプがあります。

スタートアップを始めようとしたとき、アイデアを磨き込み、時間とお金をかけて完璧なビジネスプランを練ることは、スタートアップではあまり成功しないと言われています。

なぜでしょう?それは、課題が後付けされているからです。先にアイデア(プロダクト)ができ、課題が後付けされてしまうと、一番大切なユーザー目線やpain(痛み)が抜け落ちてしまうのです。人は、課題=painを感じるものには、お金を払ってでも解決したい、取り除きたいと思うものなので、一見遠回りに感じるかもしれませんが、課題を正しく捉えることがまずは必要です。

課題を捉える時のヒント

いきなり課題を見つけましょう!と言っても、課題を見つけることはなかなか難しいものです。ここでは、課題を見つける際のヒントをご紹介していきます。

・人が気づいていないものか

スタートアップに限らず、新規事業を始める際でも言えることですが、失敗を少なくするためには、他と同じことをしないことです。誰もが課題に気づいているものは、すでにどこかの企業が行っていることがほとんどです。また、スタートアップの場合は、その市場において急成長することが求められているため、競争が激しく敵の多いレッドオーシャンで戦っても、既に強力なプレーヤーがいるため、急成長は見込めません。本当は根深い課題があるのに、誰もそれに気が付いていない、言語化できていないものに出会った時、その事業は成功すると言われています。

また、既得権益が存在しないマーケットも大きなマーケットとなります。過去の例を挙げると、ブロックチェーンやVR/ARなど新技術面でのマーケット、LGBTや働き方の多様性で新たに広がるマーケットなどがあります。

・誰が聞いても良いアイデア ではないこと

 「誰もがいいアイデアと感じるものの方がいいのでは?」と思うかもしれません。大企業では、必要な考え方かもしれませんが、スタートアップが真正面から同じ考え方で臨んでは、ただただ消耗戦を引き起こすだけです。スタートアップにとって大切なのは、そのサービスをローンチした後、「その考えがあったか!」「目から鱗!」「それってアリなの?」というように、ユーザーをハッと思わせるアイデアがとても重要です。シリコンバレー最大のシードアクセラレータープログラムY Combinator はそれを「一見悪いように見えて、良いアイデア」と表現しています。

「えっ?」と思われるような、一見悪いように見えて実は良いアイデアだったという例で成功したスタートアップは数多く存在します。代表的な例で言えば、UberやAirbnbなどです。Uberは、タクシーではなく、赤の他人の車に乗せてもらい目的地まで行くというアイデア、Airbnbは自分の家の一部を他人が泊まるために貸し出すというこれまではなかったアイデアから始まりました。Airbnbは今でこそ評価額3兆円を超えるほどに成長しましたが、創業当初は、多くの著名なVCが投資を見送ったと言われています。

・自分ごとか

そして一番重要なポイントでもありますが、課題が「自分ごと」になっているかどうかです。

自分の強みや特性などを活かして、ある程度自分の生きている世界からの延長で課題や事業について考えることがヒントとなります。自身が課題と感じ、その課題を自分ならどうやって解決していくか、そして自分が望む”あるべき世界”はどういうものか?を描いていきます。自分が課題と感じるものは、ユーザーが自分なので、究極のユーザー目線に立つことができます。自分がやる意味は何か、自分だからできることは何かを徹底的に追求しましょう。そして、自分が望むあるべき世界と、目の前にある世界とのギャップを、どのような方法なら埋められるかを考えていきます。ビジネスを進める上で多くの困難が待ち受けますが、本当に自分が解決したい課題に出会った場合、何よりもその想いは強い原動力となります。

Y Combinatorの創設者であるPaul GrahamもHow to Get Startup Ideas の中で、このように紹介しています。

スタートアップのアイデアを得るには、アイデアを「考えてはいけない」。

必要なのは問題を探し出すことだ。

そしてあなた自身が抱えている問題であるほうが好ましい。

 最高のスタートアップのアイデアは3つの共通項をもつ。

これはMicrosoft、Apple、Yahoo、Google、Facebookにも共通するものだ。

創業者自身が望むものであり、

自分自身が構築できるものであり、

やる価値があると認識している人が他にほとんどいない

・若い世代の方が始めやすいマーケットもある

これを読んでいる若い方は、「そうはいっても人生経験も浅いし、自分ごとの課題なんて、そんなに簡単に見つけられないよ」と思う方も多いかもしれません。しかし、UX(ユーザーエクスペリエンス)の再構築がなされていくマーケットにおいては、ミレニアル世代を初期のターゲットに置いていることも多いため、ユーザー目線を徹底できる若い世代の方が事業を立ち上げやすいとも言われています。最近は、物やサービスをシェアするシェアリングエコノミーが流行っていますが、ミレニアル世代がこの市場を牽引しているとされています。最近話題の空き時間を使ってすぐに働くことができるワークシェア「タイミー」や、傘のシェアリングサービス「アイカサ」などは、実際に課題を感じた20代の方が起業されています。

・アイデアが固まったら、言語化してみる!

アイデアが固まったら、リーンキャンバスなどのフレームワークを使い、実際に言語化してみます。そのときは、長々と書くのではなく、出来るだけ端的な言葉で落とし込んでみましょう。

リーンキャンバスが難しいと感じる方は、こちらの7つの項目を使って言語化してみることをおすすめします。

スタートアップにとっていいアイデアとは?
スタートアップにとっていいアイデアとは?

言語化して落とし込むメリットとして、自分自身の考えを整理するとともにチーム内でアイデアを共有することができるからです。効率的にコミュニケーションが取れるだけではなく、自分たちのチームがどこに向かっているのかという迷いを払拭できるので、チームが複数人いる場合、この言語化の作業は一人ではなく複数人で行うことがおすすめです。

また、この言語化は一度書いて終わりではありません。これはあくまでも机上の仮説なので、書き込んだ後は、仮説を検証していくフェーズが必要となります。仮説検証によって、リーンキャンバスや、この7つの項目は修正され、アイデアはどんどんブラッシュアップしていくのです。

スタートアップは、何度も軌道修正を繰り返し、仮説をかたちにしていきます。

次回は、仮説検証の方法について、紹介予定です!

※あくまでも一つの例として参考にしてみてください。